うつ状態のときには、体を動かすのさえ億劫になりがち。
しかし、運動不足は体力や気力まで奪います。
一方、運動をしていると体調も良くなり、心にも良い影響を与えます。
生活にとり入れたい有酸素運動。心身のバランスをとり再発を防ぐ
双極性障害やうつ病などの気分障害の病気に、運動は薬と同じくらい有効だと言われています。
米国の調査研究によると、1日45分のウォーキングを週3回、6か月続けたところ、抗うつ薬を飲んだ場合と同じような効果(脳の変化)があったと報告されています。
それもウォーキングのような「有酸素運動」が良いのです。
双極性障害の場合、躁状態のときは活動性が高まりますが、それは一時。
ほとんどは、心も体もエネルギーを無くしたような、うつ状態で過ごします。
何をするのも億劫で、意欲がわかない状態は、患者さんの活動性を奪います。
運動不足から体力が落ちて、ますます動くのが億劫になる、という悪循環をまねきます。
これでは、心身のバランスを崩し、回復はますます遠くなります。
動きたくないから動かない、という状態を変えるには、日常の事からでもやってみることです。
体を動かして体調が良くなれば、それは心にも良い影響を与え、再発の予防にもなります。
まずは、景色を楽しみながらの散歩など、出来ることから始めてみましょう。
なぜ運動が心の病気に効くのか
セロトニンを増やす
セロトニンは、人間の精神面に大きな影響を与える神経伝達物質です。
ノルアドレナリン(神経を興奮させる)やドーパミン(運動機能に影響を与え、快感や多幸感とも関わる)といった神経伝達物質が暴走するのを抑え、心を安定させる作用があります。
ですから、セロトニンが不足すると心のバランスが崩れ、キレやすくなったり、うつが発症しやすくなります。
運動をすることで、このセロトニンの分泌量が増えるため、病気にも良い影響を与えるのです。
有酸素運動は乳酸の代謝をよくする
乳酸は、強い運動をしたときに筋肉にたまる疲労物質です。
乳酸がたまりやすいのは、激しい無酸素運動や労働をした場合で、また運動が不足しても乳酸がたまります。
一方、軽い有酸素運動なら、乳酸をエネルギーとして使いますので、かえって代謝は良くなり、疲労回復にも有効です。
脳を活性化する
うつ状態が続くと、脳の海馬(情動や記憶に関わる部位)に委縮が見られますが、運動をすると、この海馬に新しい神経細胞が生まれることがわかっています。
また、脳由来神経成長因子(BDNF)が合成され、脳へ行くと言われます。
運動によって脳の活性化が期待できるのです。
運動するときのポイント
適しているのは有酸素運動
運動には、呼吸をしながら行う「有酸素運動」と、呼吸を止めて行う「無酸素運動」があります。
無酸素運動は、短距離走や相撲、バーベルを使った筋トレのような強い負荷をかける運動で、乳酸をためてしまいます。
一方、適度な有酸素運動は乳酸の代謝を促します。ウォーキングや軽いジョギング、サイクリング、水泳などを自分のペースで毎日続けるのが良いです。
笑顔でいられるニコニコ運動
運動の強さとしては、終わった後息を切らさず「普通に呼吸ができる」苦しくなく「笑顔でいられる(ニコニコ運動と呼ばれる)」、「汗が心地よく感じる」程度を目安にします。
翌日まで疲労を残さない、自分の体力に合った軽いものでも、続けることで十分効果があります。
毎日続ける工夫
日常生活の中で、習慣にすると続けやすいものです。
朝食の前か後に散歩する、土曜の午後は水泳をする、といったように決めておくのです。
手帳やカレンダーなどに時間や体調などを記録しておくと励みになります。
そんな感じ。
そんじゃー、またね(‘ω’)ノ
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